2012年6月 天空茶会(第三葉)

~向暑の茶事~  紫陽花のように、色とりどりの茶席をお楽しみください

ご来場いただきました皆さま、本当にありがとうございました。
行き届かぬところも多々あったかと思います。
最後の回など、満席で泣く泣くお断りをしなければならないほどでした。

【香】 
凍頂烏龍茶 2004年特等賞 (淹れ手:小林真由美) 
台湾南投県鹿谷郷で作られる凍頂烏龍茶は、台湾を代表する烏龍茶として日本でも多くの人に愛されています。 
今回この茶席でお淹れするのは、2004年の台湾で開催されたコンテストで賞をとった凍頂烏龍茶です。 
8年前に作られたこの凍頂烏龍茶は、缶に保管されたまま、一度も開封されずに今日を迎えることに。 
8年の年月は、烏龍茶にどのような味わいをもたらしているでしょうか? お茶は新茶が一番と思っている方にも、ぜひ味わって頂きたい特別な味わいです。 

1992年 雲南普洱茶磚 (淹れ手:堀 倫子) 
1992年7581茶磚。プーアール茶の産地、雲南省の昆明茶廠の製作です。 90年代後半の昆明茶廠の衰退に伴い、現在では製作されていない半生半熟茶(熟茶の堆積過程が通常の半分)です。 
20年の時を経て、ほのかに楠香のする、まろやかな甘さの残る茶に仕上がりました。 
力強く優しいこのお茶を、楽しんで戴ければ幸いです。 


【華】 
文山包種茶 2012年春 (淹れ手:樋下田 節子) 
台湾北部の文山地区が産地。 百数十年ほど前、“種仔”と呼ばれていた茶葉を紙で包んで出荷していたことから「包種茶」の名がついたといわれています。 
烏龍茶の中では最も発酵度が低く緑茶に近いので、清らかでフレッシュな香りをお楽しみいただけます。 
中国茶や台湾茶を飲み慣れていないかたにも、美味しく飲んでいただけるお茶です。 
ほのかな蘭のような香気と優しい甘みをご堪能ください。 

鳳凰単欉 桂花香 (淹れ手:御秡如玲未) 
鳳凰単欉は広東省潮州市にある鳳凰山一帯で採れる茶葉で作られた烏龍茶で、種類は80種以上もある歴史のある銘茶です。茶樹は品種ごとに花や果実などの特徴的な香りを作り出すため、収穫および製茶は別々に行われます。故に「個々の木」を示す言葉である「単欉」が名称となっています。今回ご用意したのは「桂花香」です。金木犀のような香りが高く、爽やかな甘味と香りが口中や喉奥に広がります。着香のものではない、自然の香りをお楽しみください。 


【福】 
武夷岩茶 大紅袍 (淹れ手:越智 直子) 
歴史の古い武夷岩茶は、鉄観音と並ぶ烏龍茶の「双壁」であり、烏龍茶の原点とも言われています。景勝地「武夷山」の岩肌で厳しい環境に鍛えられた力強い香り、飲み終えた後に喉元に戻ってくるほのかな甘みをぜひお楽しみください。 

安渓鉄観音 清香 (淹れ手:清水 柚紀子) 
鉄観音は日本でも人気のある中国茶の一つ。今回は福建省安溪西坪産の清香をご用意しました。 中国十大茗茶の一つに数えられる安溪鉄観音ですが、清香は茶葉は固く締まった深い緑色に仕上げてあります。 水色はきれいな黄金色で、蘭の花のような香りが長く続き、芳醇で清々しい甘味が特長です。 また、清香は焙煎が軽いため、緑茶のようなすっきりとした飲み口が近年人気になっております。 初夏にふさわしく、清々しく爽やかな気分に浸れる「お味」と「香り」をお楽しみ下さい。 


【蘭】 
今雨軒 餐月 (淹れ手:山川 幸代) 
中国南方、雲南省西双版納の景邁山の茶樹からつくられた白茶です。 
「美しい満月のように純粋で清らか」と名付けられたこの白茶は、ふんわりとやわらかで、上品な甘さを感じさせてくれます。美味しそうな香りに待ちきれないかもしれませんが、そこはぐっと我慢して、茶葉がお湯に馴染むまでの時間を楽しむのも白茶ならではのたのしみ。 ゆらゆら揺れる茶葉を見ながら、ゆったり贅沢な時間をお楽しみください。 

東方美人 (淹れ手:藤田 朋子) 
台湾茶の四大銘茶の一つであり、かつてヨーロッパや北米に「オリエンタルビューティ」の名で、その名声を世界に広めた歴史的な銘茶です。発酵度が70%と青茶の中で一番発酵度が高く、紅茶に近い味わいと蜜のような甘い香りが特徴です。夏に発生するウンカ(昆虫)の食害を利用したお茶は、インドのダージリンの夏摘み紅茶が、グリーンフライという昆虫に噛まれることで芳香を得るという、紅茶好きには有名なお話とも共通点があります。東洋の貴婦人のようなお茶をどうぞお楽しみください。 


【清】 
梅山高山茶  2012年春 (淹れ手:近藤 智子) 
台湾茶のなかでも、標高1000メートル以上の地域で作られるお茶のことを高山茶と呼びます。 霧が発生しやすい高地では、昼夜の温度差が激しいため、良質の茶葉が生育されると言われています。 この梅山高山茶は、梅の花・果実を思わせる香りと、口に含んだ時に、甘味と酸味がバランス良く広がるのが特徴のお茶だと思います。 
ぜひ梅雨のこの時期に、さわやかな高山茶をお楽しみください。 

六安瓜片 (淹れ手:陳 慶玉) 
唐代にも知られていた銘茶で、清代には広く市場に流通していた中国伝統十大銘茶の一つ。穀雨前後に芽は摘まず葉だけを摘み葉が瓜の種の形に似ているのでその名がつきました。水色は明るい黄緑、新鮮で芳醇、後味は甘く、清い香りの緑茶です。